フィンスイミングのリレーとは?4人の平均が個人の世界記録に並ぶ、引き継ぎという見どころ

フィンスイミングのリレーとは?4人の平均が個人の世界記録に並ぶ、引き継ぎという見どころ

この記事のポイント
  • 男子4×50mサーフィスリレー世界記録は2025年ドイツの59.35秒。1人平均14.84秒でポシャートの個人記録14.83秒に並びます
  • 50mサーフィスの個人世界記録14.83秒はマックス・ポシャート(ドイツ)が2025年に樹立(2026年9月時点)
  • 2026年の世界選手権で梶沼照史がリレー第1泳16.77。日本は1分04秒38、全体8位で決勝進出

「フィンスイミングにも、リレーってあるんですか?」

体験会に来てくれた人からも、大会を見に来た人からも、この質問はよく聞かれます。

あります。しかもリレーは、個人種目より速い泳ぎが見られる場所なんです。

でも、そこなんですよ。4人が順番に泳ぐだけなら、タイムは個人記録を4つ足したものになるはずですよね。ところが世界のトップでは、4人の平均が個人の世界記録に並びます。何が起きているのか、リレーならではの見どころと一緒に解説します!

4人の平均が、個人の世界記録に並びます

男子4×50mサーフィスリレーの世界記録は59.35秒です。2025年のワールドゲームズ(中国・成都)でドイツが出した記録で、1分を切ったのは史上初めて。それまでの記録も、同じ2025年にドイツが出した1分00秒50です。

リレーは4人が50mずつ、合計200mをつないで泳ぎます。1分を切るというのは、4人の平均が15秒を切るということですね。実際に割ってみると、1人あたり14.84秒なんです。いっぽう個人の50mサーフィスの世界記録は、マックス・ポシャート(ドイツ)が2025年に出した14.83秒(いずれも2026年9月時点)。4人の平均が、個人の世界最速とほぼ同じ数字に並んでいます!

14.84秒は、時速にすると約12km。自転車で軽く流すくらいの速さで50mを通過して、それが4人続くわけです。女子も同じワールドゲームズで中国が1分07秒99まで到達していて、1人あたり17.00秒。2022年に別の中国チームが出した1分08秒12を塗り替えた記録です。

男女で並べると、1人あたり14.84秒と17.00秒。この2.16秒の差が4回積み上がって、チームのタイムでは8秒以上の開きになります。

ちなみにワールドゲームズは、オリンピックで実施されていない競技が集まる国際総合競技大会です。フィンスイミングは1981年の第1回からずっと採用され続けていて、リレーの世界記録が生まれる舞台にもなっています。

でも、引き継ぎの一瞬で何が起きている?

では、なぜ4人の平均が個人の世界記録に届いてしまうのでしょうか?

それは、4人のうち3人が、止まった状態からスタートしていないからです。

リレーで合図のピストルを聞いて飛び込むのは、第1泳者だけ。2番手以降の3人は、前の泳者が壁にタッチするのに合わせて出ていきます。規則の線引きはこうです。前の泳者が壁にタッチする前に、次の泳者の足やフィンがスタート台を離れていたら、そのチームは失格。裏を返せば、タッチと同時なら出てよい、ということですね。

1人でも先に出られたら勝負にならないので、ここは公平のための線引きです。ただ、現場でいちばん多い失格は、もっと手前で起きます。国内では、リレーの第2泳者以降の選手が、自分の番が来る前にプールへ足やフィンをつけてしまうケースが非常に多いんです。

大会でリレーを見るときは、時計ではなくスタート台の足元を見てみるとおもしろいですね。前の泳者の手が壁に届くのと、次の泳者のフィンが台を離れるのが、ほとんど同時に見えます。ここが合った日は、4人の個人ベストを足した数字より、チームのタイムのほうが速くなります!

ちなみに、100mサーフィスの世界記録33.71秒も、リレーの中で生まれています。マックス・ポシャートが2022年、ドイツ・ライプツィヒで行われたワールドカップで、4×100mリレーを泳ぎながら出した記録です。リレーの中で個人の世界記録が動くというのは、この競技ならではの光景ですね。

サーフィスもビーフィンも、リレーがあります

サーフィスのリレーは4×50mと4×100m、日本選手権では4×200mも行われます。ビーフィンには男女2名ずつの混合4×100mリレー、さらに男女2名ずつでそれぞれサーフィスとビーフィンを泳ぐ4×100mのSBミックスリレーもあります。1本のレースの中でモノフィンと2枚のフィンが入れ替わる、フィンスイミングらしい種目です!4本柱の種目がどう並んでいるかは、フィンスイミングとは?速さ・種目・始め方にまとめています。

混合リレーには、もう1つ独特の決まりがあります。混合リレーは男性2名・女性2名で、泳ぐ順番は男・女・男・女に固定されていて、この順序を変えただけで失格になります。並び順の駆け引きをなくして、どのチームも同じ条件で競うための決まりですね。逆に、どの4人で組むかはチームに任されているので、そこは毎回の作戦になります。

正直、リレーは失格が怖い種目でもあります

2026年6月の世界選手権(韓国・仁川)では、AQUA FinDの梶沼照史が日本代表の男子4×50mサーフィスリレーを泳いでいます。予選は照史が16.77で第1泳を担い、4人でつないで1分04秒38。1人あたり16.10秒で、全体8位から決勝に進みます。

ところが決勝で、日本チームは失格。理由は、第4泳の15m規定違反です。

サーフィスで潜っていいのは、スタート後と各ターン後の15mまで。15mゾーンの外では、泳者の体か道具の一部が常に水面に出ていなければいけません。プールサイドの左右には泳法審判が1人ずつ立っていて、その仕事は「スタート後と各ターン後の15mを選手が守っているか確認すること」と規定されています。4人のうち1人が越えれば、4人分のレースがまとめて記録なしになるんです。正直、しんどいです…。

でも、だからリレーは面白いんです。飛び出してしまっても、泳者が自分でミスに気づいて壁に戻り、あらためてスタートすれば、そのチームは失格になりません。スタート台に上がり直す必要もない。ミスを自分で取り返せる余地は、ちゃんと残されています!

私たちのリレーは、いま伸びている最中です

2026年5月の日本選手権では、男子4×50mサーフィスリレーで稲毛眞生・中村康弘・矢野裕一郎・上野浩暉の4人が1分09秒79を出して、チーム新記録です!1人あたり17.45秒。世界記録の1人平均14.84秒との差は、2.61秒まで来ています。

大会全体では男女総合3位。目標にしていた総合優勝には届いていませんが、リレーは4人そろわないと出られない種目なので、組める4人が増えたことがそのまま順位に出ています。

リレーは、1人が速いだけでは組めません。初心者から日本代表まで、リレーに入る4人を1組でも増やしたいと思っています。もしフィンスイミングを始めてみたいなら、まずは1人で泳ぐ50mからで大丈夫です。4人そろった日のために、気になることは気軽に聞いてください!

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