「シュノーケルって、どれを買えばいいんですか?」
体験に来てくれた人から、モノフィンの次によく聞かれる質問です。
答えは「CMAS(世界水中連盟)の規格に合っていれば、どれでも大丈夫」。認められているのは筒の断面が円形のもので、内径は最小15mm〜最大23mmの範囲内、全長は最小430mm〜最大480mmの範囲内です。
でも、そこなんですよ。規格に入っているだけの1本と、自分の泳ぎに合う1本は別物です。内径の幅はたった8mm、長さの幅は50mm。この狭い枠の中で何を見て選ぶのか、規格の読み方から解説します!
まず、規格に合わない1本は大会で使えません
シュノーケル選びの第一関門は、吸いやすさでも見た目でもなく規格です。思っているより枠は狭いんです。
モノフィンで水面を泳ぐサーフィスは、フィンスイミングとは?速さ・種目・始め方でも紹介している競技の中核の種目で、距離は50m・100m・200m・400m・800m・1500m、さらにリレーまで揃っています。そのすべての距離で、シュノーケルの装着が義務づけられています。
なぜ、全距離で付けなければいけないんでしょう?
それは、規則に理由がはっきり書かれているからです。「サーフィスとアプニアを区別するため」。息を止めて潜るアプニアと、シュノーケルを付けて水面を泳ぐサーフィス。この2つを分ける線が、あの1本なんですね。
ただし、付けることと使うことは別です。「シュノーケルは付けるけど、呼吸はしない」というのは別にOKで、トップ選手は50mであれば呼吸をしない選手も多いですね。
そして運用は厳しめです。招集所で道具が規格に合わないと判断されればスタート台に上がれませんし、レース後に不適合が判明した場合はその時点で失格になります。
内径15〜23mm、その幅は8mmしかないんです
内径の規格が許しているのは15mmから23mmまで、幅にして8mmです。
数字だけ見ると小さな差ですが、空気が通る断面積で比べると話が変わります。内径15mmと23mmでは、断面の面積がおよそ2.4倍違うんです。同じ長さの筒でも、中を通せる空気の量がそれだけ変わります。
そして、その範囲のどこを選ぶかまで規則は決めていません。太い1本を使うか細い1本を使うかは選手の自由です。太いほど一度に通せる空気の量は増えるので、長い距離ほどその差が効いてくると考えるのが自然です。
ちなみに、サーフィスの世界記録を並べると、この規格1つがどれだけ幅の広いレースを支えているかが見えます。男子50mは14.83秒、マックス・ポシャート選手(ドイツ)が2025年に出した記録です。男子1500mは12分09秒74、アダム・ブコル選手(ハンガリー)が2017年に出した記録。いずれも2026年6月29日時点の世界記録です。15秒を切らないスプリントと、12分を超える長距離を、同じ枠の1本で泳いでいます!
長さ430〜480mm、測るのは筒の内側です
長さの規格は430mmから480mm、幅は50mmです。5cmは、だいたい指3本ぶんくらいの差ですね。
ここで見落としやすいのが測り方です。規則には「長さは筒の内側で測る」「上端は斜めに切っても丸い縁にしてもよいが、長さは最も高い点まで測る」とまで書いてあります。上端が斜めにカットされた形でも、いちばん高いところまでが長さになります。
形の指定もあります。認められているのは、顔の正面中央からまっすぐ上に伸びる、フィンスイミング専用の形です。競泳のフェアリング(整流のためのカバー)付きのシュノーケルは不可です。
つまり、外からメジャーを当てた数字や見た目だけでは判断できないということですね。買ってから気づくと交換になるので、注文する前に商品ページの寸法を確認しておきたいところです。フィンスイミング用として売られている1本を選ぶのが、いちばん確実です!
シュノーケルは、15mラインの判定にも関わります
選び方から少し離れますが、シュノーケルは審判が見ている道具でもあります。
サーフィスで潜っていいのは、スタート後と各ターン後の15mまで。規則には「15mゾーンの終わりより前に、シュノーケルまたは泳者の頭が水面上に出ていなければならない」と書かれています。頭かシュノーケル、どちらかが先に出ていればいい。つまりシュノーケルの上端は、判定の対象そのものなんです。
もうひとつ、レース中にフィン、シュノーケル、タンクなど、道具の一部・または全部を失った選手は「器具放棄」として、ゴール時点で失格となります。失格がゴールしてから分かるので、ここは静かにこたえます…。頭からずれないかどうかを1本目から確かめておく理由は、タイムより先にここにあります。
ビーフィンでもシュノーケルは必要です
シュノーケルを使うのはサーフィスだけではありません。
2枚のフィンを履いてクロールで水面を泳ぐビーフィンでも、国際ルールのCMASビーフィンならシュノーケルの着用は必須です。一方、日本国内限定の普及種目であるJビーフィンは道具の規定が正式のビーフィン種目よりもゆるく、シュノーケルの使用が任意なんです。
だから、Jビーフィンだけを泳ぐなら手元になくても大会には出られます。ただ、サーフィスやCMASビーフィンに進むなら結局は必要になるので、最初から1本持っておくほうが早いですね!
じゃあ、最初の1枚はどう選べばいい?
フィンスイミングの基本の道具は、意外とシンプルで3点だけです。フィン、シュノーケル、そして水着類一式。
このうちシュノーケルは、いちばん先に手に入る道具なんです。最初から規格に合う1本を買っておけば、体験の日から大会当日まで、そのまま使い続けられます!
- 顔の正面中央からまっすぐ上に伸びる、フィンスイミング専用の形か
- 内径が15mm〜23mm、全長が430mm〜480mmの範囲に入っているか
- 競泳のフェアリング(整流のためのカバー)が付いていないか
この3つを満たしていれば、あとは太さと長さの好みで選んで大丈夫です!
正直に書くと、シュノーケルは最初、うまく吸えません。水が入る、息が上がる、リズムが合わない…。でも、だからこそ規格の中の1本で練習を始めておくと、慣れていく過程がそのまま大会の準備になります。
AQUA FinDは「初中級者から日本代表まで」が所属するチームで、所属選手たちも、半分以上はサーフィスがメイン種目で競技をしています。体験の方には、まずはゴムのモノフィンなどをお貸ししているので、手元に何もなくても大丈夫です。
もし1本目で迷っているなら、実際に泳いでいる人のシュノーケルを見せてもらうのがいちばん早いです。気軽に聞いてください!





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