フィンスイミングに「短水路の世界記録」がない理由!プールは25mか50mかで景色が変わる

フィンスイミングに「短水路の世界記録」がない理由!プールは25mか50mかで景色が変わる

この記事のポイント
  • サーフィス50mの世界記録は14.83秒(2025年・マックス・ポシャート/ドイツ)。50mプールのタイムだけが公認
  • 女子サーフィス50mは16.94秒(2016年・チャン・イェソル/韓国)。男女差2.11秒、2026年6月時点
  • 競泳の自由形50mは20.88秒(2026年・キャメロン・マキーボイ/オーストラリア)で、同じ50mで6秒差

「25mプールで出したタイムって、記録にならないんですか?」

短水路の大会に初めて出た人から、これは本当によく聞かれる質問です。

結論から言うと、世界記録にはなりません。CMAS(世界水中連盟)は短水路、つまり25mプールで出た記録を公認していなくて、世界記録の対象になるのは長水路、50mプールで出したタイムだけなんです。

でも、そこなんですよ。25mか50mかで変わるのは、記録の扱いだけじゃありません。ターンの回数も、潜っていい区間の長さも、レースの景色そのものが入れ替わります。プールの長さで何がどう変わるのか、解説します!

公認されるのは、50mプールで出したタイムだけです

CMASが世界記録として認めるのは、オリンピックサイズの50mプール、つまり長水路で、電子計時によって計測されたタイムです。対象になるのはシニア(18歳以上)とジュニア(12〜17歳)の年齢区分。25mプールで出たタイムは、どれだけ速くても、この表には並びません。

なぜ、50mプールだけなのか?

それは、同じ距離でも壁を蹴る回数が変わってしまうからだと考えるのが自然です。同じ100mでも、25mプールと50mプールではレースの中身が別物になります。CMASの選手権そのものも50mプールで行われますが、25mプールが使えないわけではなく、各国の国内大会や地域の大会では普通に使われています。

記録の中身も見ておきましょう。2026年6月時点で、サーフィス(SF)50mの世界記録は、男子が14.83秒(2025年・マックス・ポシャート/ドイツ)、女子が16.94秒(2016年・チャン・イェソル/韓国)。男女の差は2.11秒です。競泳の自由形50mの世界記録は20.88秒(2026年・キャメロン・マキーボイ/オーストラリア)ですから、同じ50mで6秒も違います!

そしてこの14.83秒は、ターンを1回もせずに出たタイムです。50mプールの50mは一直線、25mプールの50mは途中で必ず1回折り返す。25mプールでどれだけ速いタイムが出ても、世界記録の表は動きません。同じ「50m」でも、水の中で起きていることが変わってしまうんですね。

じゃあ、25mプールでは何が変わるのか?

変わるのは、まずターンの回数です。

サーフィスの距離は50m・100m・200m・400m・800m・1500mとリレーまで揃っています。このうち100mなら、50mプールでのターンは1回、25mプールでは3回。400mだと7回と15回、1500mにいたっては29回と59回! 壁を蹴る回数が倍以上に増えるので、ターンが多いレースほど、泳ぎの速さよりも折り返しの精度がタイムに効いてくるんです。

もう1つ、潜っていい区間の長さも変わります。サーフィスで潜れるのは、スタート後と各ターン後の15mまで。100mを25mプールで泳ぐと、スタートと3回のターンで15mが4回ぶん、合計60mが潜っていい区間になります。50mプールなら、スタートとターンの2回ぶんで30m。同じ100mでも、水中を使える距離が2倍違うんです。

15mゾーンの外では、泳者の体か道具の一部が常に水面に出ていなければいけません。プールサイドの左右には泳法審判が1人ずつ立っていて、スタート後と各ターン後の15mを選手が守っているかを確認しています。25mプールでは、その15mが1本の半分以上を占めるわけですね。400mを25mプールで泳ぐなら15回の折り返しがあるので、ペース配分の設計そのものが変わります。

ちなみに、CMAS公認プールでは両端の壁から15mの位置に幅20cmの帯が床に固定され、水面から1m以上の高さにも目印が置かれます。25mプールだと、左右から伸びる15mの区間が5mぶん重なる計算になります。

でも、25mの大会は国内にもちゃんとあります

記録が公認されないことと、大会が開けないことは別の話です。日本にも短水路の日本選手権があります。公認記録が懸かっていないぶん、短水路のレースには気楽さもあります。

そして短水路には、25mプールでしか組めない種目もあります。息を止めて潜るアプニア(AP)です。距離は50mだけ、短水路の場合は25mも設けられていて、CMASの規則では13歳以下は50mアプニアに出場できませんが、短水路の25mアプニアなら12〜13歳も出場できます。いきなり50mを潜らせるのではなく、体の成長と経験に合わせて距離を積み上げていく形ですね。

アプニアは、ルールと審判と監視のある大会のなかでだけ成立する種目です。息こらえを一人で、自己流で真似するのはやめましょう。プールが半分の長さになることで、若い選手が安全に競技へ入る入り口ができている。これは短水路の大きな役割です!

正直に言うと、短水路の自己ベストは表に残りません

ここは、正直しんどいところです。25mプールの大会で会心のタイムが出ても、そのタイムが世界記録の表に並ぶことはありません…。

だから、短水路のベストと長水路のベストは分けて持っておくのがおすすめです。比べるのは同じ長さのプールで出したタイムだけ。そうしておくと、1年かけて何が伸びたのかが見えます。

でも、だからこそ短水路は、最初の1枚にちょうどいい場所になるんです。ターンの回数が倍以上になるぶん、レース1本のなかに折り返しの経験が何度も詰まる。初めての大会でいきなり50mプールの400mに挑むより、25mプールで何度も壁を触るほうが、持ち帰れるものは多いですよ!

記録として残らないぶん、思い切って攻められるのも短水路です。前半から突っ込んでみる、ターンの入りを変えてみる。その実験をレースでやっておくと、50mプールの本番で使える手札が増えます。

私たちは、25mのレースも本気で泳ぎます

AQUA FinDは、初中級者から日本代表までが所属するチームです。拠点や活動場所は池袋や辰巳が中心で、25mプールのレースも50mプールのレースも、出られるものにはどんどん出ています。短水路の大会は、初めてのレースにも、シーズン途中の試し打ちにも使えます。

競技の全体像や種目の違い、始め方はフィンスイミングとは?速さ・種目・始め方にまとめてあります。プールが25mか50mかで景色は変わりますが、モノフィンでひと蹴りしたときの気持ちよさは、どちらでも同じです!

もし「記録にならなくてもいいから、一度レースに出てみたい」と思ったなら、まずは体験からで大丈夫です。参加にかかる質問は、LINEかお問い合わせフォームから気軽に聞いてください!

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