フィンスイミングの世界記録、いちばん持っている国はどこ?ロシア最強のイメージは、もう最新じゃない

フィンスイミングの世界記録、いちばん持っている国はどこ?ロシア最強のイメージは、もう最新じゃない

この記事のポイント
  • 2026年6月29日時点、個人28種目の最多はハンガリーの9。ナンドール・キシュ選手が男子200m・400mサーフィスを保持
  • ドイツのマックス・ポシャート選手が2025年7月19日に男子50mサーフィスを14秒83へ。個人28のうち10が2025年以降の記録
  • ロシアは個人が4、リレーは8種目中5を保持。男子50mアプニア13秒70は2019年、パベル・カバノフ選手の記録

「フィンスイミングって、やっぱりロシアが最強なんですよね?」

この質問、体験会に来た方からよく聞かれます。強い国のイメージは一度固まるとなかなか動かないもので、私たちも「ロシア」という答えを何度も耳にしています。

ただ、世界記録の一覧を上から1つずつ数えていくと、答えは変わります。2026年6月29日時点で、シニアの個人種目でいちばん多くの世界記録を持っている国はハンガリーです!

でも、そこなんですよ。これは「ロシアが落ちた」という単純な話ではありません。数え方を1つ変えるだけで、順位はまたひっくり返ります。国別の勢力図を、種目と年代の両方から解説します!

数えると、個人種目の最多はハンガリーです

CMAS(世界水中連盟)が公認するシニアの個人種目の世界記録は、サーフィス・ビーフィン・アプニア・イマージョンを男女合わせて28あります。保持国を数えると、ハンガリーが9、中国が8、ロシアが4、ドイツが3、韓国が2、ポーランドとウクライナが1つずつ。これで28ぜんぶです。

ハンガリーの中心にいるのがナンドール・キシュ選手です。2025年8月のワールドゲームズ成都大会で、男子200mサーフィスを1分17秒71に、その前日には男子400mサーフィスを2分52秒68に更新しています。400mのほうは、50mを平均21秒台で8本続ける計算です。時速にすると8km台、成人男性の歩行スピードが平均およそ時速5kmですから、水の中でその1.6倍以上を3分弱、休みなく出し続けることになります。同じ大会でセバスチャン・サボー選手が男子50mビーフィンを17秒96に塗り替えていて、ハンガリーはこの1大会だけで3つ持ち帰っています!

9つのうち6つが男子、残る3つは女子ビーフィンの50m・100m・200m。距離でもフィンの種類でも散らばっていて、1人のスターだけに支えられた数字ではないんです。

でも、ロシアが弱くなったわけじゃないんです

ここにリレーを足すと、景色が変わります。リレーの世界記録は男子3種目・女子3種目・混合2種目の8つで、そのうち5つをロシアが持っています。個人とリレーを合わせた36で数え直すと、ハンガリーが10、ロシアと中国が9で並びます。個人だけで見た「4」とは、まるで違う数字ですね。

では、なぜ数え方ひとつで順位が動くのでしょうか?

それは、リレーが8種目しかないからです。個人の記録は28に散らばりますが、リレーは母数が小さいので、1つ持っているだけで全体の比率が大きく動きます。

個人の4つも古びてはいません。男子50mアプニアの13秒70は、2019年にロシアのパベル・カバノフ選手が出したもので、7年のあいだ誰にも破られていません!息を止めて50mを13秒台というのは、いまだに現実味のない速さです。リレーの5つのうち4つも2014年から2021年のあいだに出た記録で、10年前後たったいまも残っています。

ちなみに、記録を持つ国と、道具を作る国は一致しません。モノフィンの多くはウクライナ製で、ほぼ手作りで仕上げるハンドメイド製品です。そのウクライナが持つ個人の世界記録は、女子400mサーフィスの1つだけ。世界中の選手がウクライナ製の板を履いて、それぞれ別の国旗で記録を出しているわけですね。

じゃあ、いま記録を塗り替えているのは誰?

28の個人記録のうち、10は2025年以降に出たものです。内訳はハンガリーが4、ドイツが2、ポーランド・韓国・ウクライナ・ロシアが1つずつ。3分の1以上が、この2年足らずで入れ替わっている計算になります。

勢いという意味でいちばん目立つのはドイツです。マックス・ポシャート選手が2025年7月19日、ポーランドのオルシュティンで男子50mサーフィスを14秒83に更新。さらに同年8月のワールドゲームズでは、ドイツ男子の4×50mサーフィスリレーが59秒35で泳ぎ、史上初めて1分を切っています!

この14秒83という数字は、競泳自由形50mの世界記録20秒88(2026年、オーストラリアのキャメロン・マキーボイ選手)より6秒も速く、速度にしておよそ1.4倍。同じ大会では中国の女子4×50mサーフィスリレーも1分07秒99を出していて、リレーの記録もこの1年で動いているんです。

中国の強さは、女子に集まっているんです

中国が持つ個人の世界記録8つのうち、7つは女子です。女子イマージョンは100m・200m・400mの3種目すべてが中国、女子アプニア50mも中国。しかも女子800mと1500mのサーフィスは2011年の記録で、15年たったいまも誰も届いていません。いっぽうハンガリーは9つのうち6つが男子です。同じ「強い国」でも、強さの出ている場所がまったく違います。

だから、国名だけで強い弱いを語ってもあまり意味がないんですよね。サーフィス、ビーフィン、アプニア、イマージョン。この4本柱それぞれに別の地図があって、種目が変われば上に立つ国旗も変わります。種目の中身から知りたい方は、フィンスイミングとは?速さ・種目・始め方を先に読むのがおすすめです。

日本の名前は、この表にまだ1つもありません

正直に書くと、個人28種目にもリレー8種目にも、日本の記録は1つもありません。アジアからは中国が8つ、韓国が2つ入っているのに、です。同じアジアの国が、この表に10行分の名前を並べています。

でも、だから伸びしろがはっきり見えるとも思っています。男子400mサーフィスの日本記録は、2015年5月の日本選手権で関野義秀が樹立した3分13秒07が10年間破られず、2025年12月の福岡大会で平岩佑陸選手が3分12秒54に更新しています。キシュ選手の2分52秒68とは、まだ20秒近い差。この20秒が、そのまま日本の伸びしろです!

私たちのチームからも、2026年6月の世界選手権(韓国・仁川)に梶沼照史が出場しています。男子4×50mサーフィスリレーでは第1泳を16秒77で泳ぎ、日本チームは1分04秒38、全体8位で決勝に進んでいます。決勝に残れるのは上位8チームなので、ぎりぎりの8番目でした。その決勝は15m規定違反で失格。悔しい結果ですが、決勝の舞台には立てています。

世界記録を持つ国は入れ替わります。10年前の勢力図と今の勢力図は、もう別物です。AQUA FinDは初中級者から日本代表までが所属するチームで、いつかこの表に日本の名前を入れることを本気で狙っています。記録の世界を近くから見てみたいなら、まずは一度モノフィンを履いてみるのが早いですよ。問い合わせはLINEからどうぞ!

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