「フィンスイミングってオリンピックにあるの?」ないです。でも私たちが、それを負い目に思っていない理由

「フィンスイミングってオリンピックにあるの?」ないです。でも私たちが、それを負い目に思っていない理由

  • 1900年パリ五輪に「水中泳」は正式種目として実在した。開催はたった1回きり
  • 廃止の理由は「観客に見えないから」。2位の選手は1位より3秒速く泳いだのに負けた
  • CMASは1986年にIOC公認。ただしCMAS自身が「第一段階であり、それだけでは十分でない」と認めている
  • 実質の主戦場はワールドゲームス。1981年の第1回から出続けており、2025年は中国・成都で開催された

「フィンスイミングって、オリンピックにあるんですか?」

この質問、本当によく聞かれます。競技の説明をすると、ほぼ必ず出てきます。

で、答えははっきりしています。ありません。フィンスイミングはオリンピック競技ではないんです。

そう答えると、だいたい「あー……」という顔をされます。ちょっと気の毒そうな、あの顔です。まあ気持ちは分かります。でも、そこなんですよ。オリンピックにないことは、悔しい部分もありつつ、だからこそ私たちにとってメリットでもあるんです。

実は水中の競技、一度だけオリンピックにあったんです

まず、ほとんど知られていない事実から。1900年のパリ五輪に「水中泳」という正式種目が実在しました。

記録はちゃんと残っています。1900年8月12日の朝9時、会場はプールではなくセーヌ川。4カ国から14人が出場しました。優勝はフランスのシャルル・ドヴァンドヴィル。60mを1分08秒4で泳いでいます。

おもしろいのが採点方式でして、水中にいた1秒につき1点、進んだ1mにつき2点を足して順位を決めていました。つまり、長く潜っていればいるほど点が入る。

ここで何が起きたか。2位の選手は、優勝者と同じ60mを、3秒も速く泳いでいます。それなのに負けているんです! 速く上がってきた分だけ、点を損したからです。速いほうが負ける競技だった、というわけですね。

そしてこの種目、この1回きりで消えました。理由は単純です。観客に、何も見えないから。川の中で行われていて、しかも速い選手が勝つわけでもない。盛り上がりようがなかったんです。

ここ、私たちにとってはかなり刺さる話です。126年前、水中競技がオリンピックから消えた理由は、レベルでも、厳しさでも、面白さでもなかった。「見せられなかった」こと。それだけだったんです。

じゃあ、トップ選手は何を目指しているのか

「五輪がないなら、目標がないんじゃないの?」と思われるかもしれません。とんでもない! ちゃんと頂点はあります。

それがワールドゲームスです!

簡単にいうと、オリンピックで実施されていない競技が集まる国際総合競技大会で、規模も権威も本物、第2のオリンピックと言われています。(時にはオリンピック種目も行われます)そして、フィンスイミングは1981年の記念すべき第1回からずっと採用され続けてます。移り変わり、入れ替えもあるこのワールドゲームスにずっと採用されているんです!ちなみに、直近では2025年に中国・成都で行われました。

そして、ここが大事なところです。フィンスイミングのトップ選手の中では、ワールドゲームスはオリンピック並に特別な大会として位置づけられています。「五輪の代わり」なんて軽いものじゃない。あそこに立つことが、この競技における頂点のひとつなんです。トップの世界では、それは共通認識になっています。

ただ、正直に言います。一般のフィンスイマーは、ワールドゲームスのことをよく知りません…。そもそも、日本では、フィンスイミングに限らず、ワールドゲームス自体のことがまだまだ知られてないですよね。

これがこの競技の現在地です。頂点は間違いなく存在していて、そこを本気で狙っている選手もいる。なのに、その頂点が競技の内側でさえ十分に知られていない。悔しいですけど、これが事実です。ここを変えられるように、私たちは普及活動もしていけるように頑張っています!

五輪にないと、正直しんどいこともあります

きれいごとを書いても仕方ないので、不利な部分も並べます。

  • ・メディア露出の機会が少ない:知ってもらえる絶好の機会である「メディア」に出るチャンスがそもそも限られます。

  • ・お金が集まりにくい:それもあり、同じスポーツでも、五輪競技のほうが資金は圧倒的に集まりやすいです。国や自治体からの補助や表彰も、「五輪種目の選手であること」を前提としているものがほとんどで、私たちがどれだけ頑張っても、そもそも認めてもらえません。

  • ・フックが少ない:「オリンピック」という言葉が持つ引きの強さは強力で、それが使えないのは痛いです。「ワールドゲームス」と違って、わかりやすいですからね。

ここは強がっても仕方ないので認めます。しんどいです。

でも、五輪にないから「できる」ことがある

ここからが本題です。

大きな市場を持つ競技ほど、実は選手個人の活動には縛りがつきまといます。団体の権利関係や肖像権のルールがきっちり決まっていて、選手が個人の判断で動ける範囲は思っているより狭い。企業との取り組みが、選手の意思とは関係のないところで途中で止まる。時には訴訟だったり、活動停止されたり。当たり前ですが、そういうことが普通に起きる世界です。

じゃあフィンスイミングはどうか?
個人スポンサー、企業との協業、肖像権、コラボなど、大きな声では言えませんが、このあたりの制約が、非常に柔軟なんです。

だから企業と組みやすい。
選手が自分の意思で動ける。

実際、選手がメーカーの発信に関わることも普通に起きています。話が来てから形になるまでが、とにかく速い!

言ってしまえば、ベンチャーみたいなものです。もちろんルールはあるけど、整った・確立された市場はない。予算も、知名度も、レールも少ない。でもその代わりに、できることの可能性がめちゃくちゃ多い。

すでに完成された巨大な競技で、決められたレールを走るのか。それとも、自分たちでレールを敷けるのか。どっちが面白いか、私たちの中でははっきりしています。オリンピックにないことは、劣っていることじゃない。自由の幅が広いということです!

見えないなら、見せればいい

整理します。1900年に水中泳が消えた理由も、いまフィンスイミングが足踏みしている理由も、競技のレベルの低さではありませんでした。速さでも、厳しさでも、面白さでもない。全部「見せる」ことの問題です。

だったら、やることは決まっています。見えないなら、見せればいい!

一度でもナマでフィンスイミングを見た人は、だいたい同じ反応をします。「速っ!」。スタートの飛び込みの音、水面を切るような迫力、ジェットのように一気に進んでいくあのスピード。あれは五輪にあるかないかとは関係なく、みるスポーツとして単純に面白いんです。

だから私たちは、オリンピックに入ることだけがゴールだとは思いません。魅力が正しく伝わった結果として、いつか起きるかもしれないこと。それくらいの距離感です。それより先にやることがある。この競技の面白さを、まだ知らない人に届けること。頂点があることを、競技の中の人にもちゃんと知ってもらうこと。ベンチャーみたいな自由を、使い倒すこと。

AQUA FinDが「フィンスイミングといえばAQUA FinD」を掲げて発信し続けているのは、突き詰めればここです。126年前に観客の目に届かなかったものを、今度こそ現代に届ける。自分たちのことを知って欲しい気持ちが全くないかと言ったら嘘になりますが、でも、フィンスイミングのことをとにかく1人でも多くの人に知って欲しいからこうやって発信にも力を入れているんです!

初心者から日本代表まで、一緒にフィンの魅力を語れる人を仲間を増やしていきたい。もちろん一緒に挑戦してタッグを組める企業やスポンサー様もぜひお声をいただきたいです!

この競技、本当に面白いんですよ! まずは競技そのものを知るところから、どうぞ。

フィンスイミングとは?速さ・種目・始め方

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