モノフィンの選び方!硬さ・サイズ・ブーツで、同じ人の泳ぎが別物になる

モノフィンの選び方!硬さ・サイズ・ブーツで、同じ人の泳ぎが別物になる

  • モノフィンは「Mサイズください」では買えない。板の硬さ・ブレードサイズ・ブーツサイズの3つを個別に選ぶ必要がある
  • 硬さは体重と距離が目安。迷ったら柔らかめ選択が安心。硬い板は技術がないと逆効果で怪我リスクも高まる
  • いちばん重要なのは実はブーツ。初心者は足のサイズ+0.5〜1.0cm程度の余裕を持たせてフィンソックスで調整する
  • フリーダイビング用とフィンスイミング用は別物。足首の角度が完全に違い、用途を確認せず買うと失敗する
  • 受注生産で2〜3ヶ月の納期。大会から逆算した注文が必須。国際大会出場予定ならCMAS認証ステッカーの確認も重要

プールで初めてモノフィンを借りて泳いだ人が、そのあとだいたい2つに分かれます。「進む!めちゃくちゃ楽しい!」と言う人と、「足が小さくて痛いし、思ったより進まなかった…」と言う人。

この差、才能でもセンスでもないことが多いんです。単純に、そのフィンがその人に合っていないだけかも?

モノフィンは「Mサイズ…いや、Lサイズください!」で買える道具ではありません。板の硬さ、ブレードの大きさ、足を入れるブーツのサイズ。この3つの組み合わせで、同じ人が泳いでも進み方がまるで別物になります。しかも多くは受注生産で、届くまで2〜3ヶ月待ち。つまり、選び方を知らないまま注文すると、2ヶ月半後に「合わない1枚」が届くわけです。これは避けたい…。

この記事では、モノフィンを選ぶときに実際に決めることになる3つのポイントを、海外メーカーの基準と競技の現場の考え方の両方から整理します!フィンスイミングとは?速さ・種目・始め方を読んで「やってみたい」と思った人が、次に迷うのがまさにここなので。

そもそもモノフィンって、選べるものだったの?

まずここからです。モノフィンは、両足をそろえて1つのブーツに入れ、1枚の大きなブレードで水を押す道具。モノフィンとは?履いた瞬間に世界が変わる、水泳界最速の道具!で構造や泳ぎ方は解説しているので、そちらもぜひ。

で、競技用のモノフィンには「標準サイズ」という発想がほとんどありません。ブレードは幅70cm前後・重さ3kg近い1枚板ですが、その硬さはだいたい7段階くらいに分かれていて、ブーツのサイズも別に指定します。

スキーの板とビンディングを想像してもらうといちばん近いかもしれません。体重・脚力・泳ぐ距離が違えば、正解の1枚も変わる。だから「みんなが使ってるやつ」を買うのが、実はいちばん危ない選び方なんです。

選ぶときに決めるのは、この3つだけ

ややこしそうに見えて、決めることはシンプルです。

  • 板の硬さ:どれくらい大きな力で水を押し返せる板か

  • ブレードのサイズ:板そのものの大きさ

  • ブーツ(フットポケット):足を入れる部分のサイズと構造

順番に大事なのは、実はこの逆です。多くの人が硬さばかり気にしますが、泳ぎの快適さと力の伝わり方をいちばん左右するのはブーツ。ここは後半で詳しく書きます。

硬さは「体重」で選ぶのか、「距離」で選ぶのか?

ここが面白いところで、海外の販売サイトと競技の現場では、硬さの選び方の説明が違います。

海外のショップはたいてい体重で案内します。たとえばLeaderfins(リトアニア)では、「65kg未満はソフト、65kg超はミディアム、90kg超はハード」という3段階。老舗のWaterwayはもっと細かく5段階で、45kg未満のエクストラソフトから115kg超のハードまで刻んでいます。体が重いほど、おそらくパワーがあると仮定され、強い力で押せるぶん硬い板でも蹴れる、という考え方ですね。

一方、日本でフィンスイミング用具を扱うFin-D Onlineの解説は、距離を軸に説明しています。「距離が短ければ短いほど、硬い板を選択し、より強い力で水を押せるようにしている」と。50mを全力で泳ぎ切る選手と、1500mをじっくり泳ぎ切る選手では、必要な板がまったく違うわけです。

矛盾しているように見えますが、これ、どちらも同じことを別の角度から言っています。硬い板は、押し返してくる水の量が多い。だから、その反発を毎回押し切れるだけのパワーとテクニックがある人が使って初めて速い。押し切れないと、板に負けて足だけがバタバタして前に進まない。「今の泳ぎじゃフィンを動かしてるんじゃなくて、フィンに動かされてるよ!!」という状態です。(笑)

50mなら30〜40回の全力キックで終わりますが、1500mを硬い板で泳いだら途中、いや、序盤で脚が終わります。要するに「あなたが、その板を最後まで押し切れるか」が基準で、体重も距離もその目安なんですね。

また、硬いフィンは関節や身体への負担が大きく、怪我のリスクも高まる。だから入門者は柔らかめのモノフィンから始めるのがおすすめだ、と書いています。

最初の1枚なら、迷わず柔らかめ。これが結論です。硬い板は速く見えますが、技術が伴わない段階では、いちばん上達を遠回りさせる選択肢になります。力任せの泳ぎが身につくデメリットもありますしね。

ブレードは、大きいほど速いわけじゃない

次にサイズ。どのメーカーも標準サイズは幅70cm前後、重さは3kg近くあります。実物を見ると、想像の1.5倍くらいデカいです!

子ども用は段階的に小さくなっていて、初めての1枚は幅50cmクラス、10〜14歳くらいで60〜62cm、そこからフルサイズへ、というのが海外メーカーのラインナップに共通する流れです。大人でも、小柄な方には、縦横それぞれ2cm小さいスモールブレードを勧めているメーカーもあります。小さい板はキックがスムーズで、1回のキックで使うエネルギーが少なくて済むからです。

ここでよくある誤解が「大きい板のほうが速い」という安直な考え方。

実際は、板に振り回されて自分のリズムで蹴れなくなるほうがずっと遅くなります。特に体ができあがる前の若手選手が背伸びして大きい板を履くと、「蹴っている」ではなく「板に蹴らされている」状態になりがちです。AQUA FinDにも小学生から社会人まで幅広い年代のメンバーがいますが、体格に合った板を選ぶことは、上達の速さにも怪我の予防にも直結します。

実は、いちばん差が出るのはブーツです

そして本題。ここを知らずに買ってしまう人が、本当に多い!

まずサイズ感が独特です。Fin-D Onlineの解説によると、短距離の選手は足のサイズより小さいブーツを選ぶことがあります。力を1ミリも逃がしたくないので、あえてきつく履くわけですね。「初めはそのキツさに戸惑う方もいるほど」と書かれているくらいです。逆に長距離の選手は、長時間履いても痛くならないよう少しゆとりを持たせます。

初めて買う人へのFin-D Onlineでの推奨は、自分の足のサイズ+0.5〜1.0cm前後の余裕を持たせて、フィンソックスで調整するという方法。いきなり短距離仕様のきつさに合わせなくていい、ということです。

そして、ここからが今回いちばん伝えたい話。

モノフィンには、板とブーツの「角度」があります。これが競技によって、まったく違うんです。

フィンスイミング用のモノフィンにも角度がついていますが、フリーダイビング用のモノフィンはれ以上に足首に大きな角度をつけて水を捉える設計になっています。

なぜこんなに違うのか?

フリーダイビングは深く潜っていく競技なので、足首を曲げた状態から水を後ろへ蹴り出す動きが中心になります。角度がついているほうが、その動きで力を伝えやすい。対してサーフィスは、水面すれすれを最高速で駆け抜ける種目です。体を一直線に保ったまま、うねりで進みたい。足首に余計な角度がついていると、その一直線が崩れて抵抗になってしまいます。だからほぼフラットな7度なんですね。

ここが落とし穴で、ネット通販で「モノフィン」と検索すると、上位に出てくるのはたいていフリーダイビング用やマーメイド用です。見た目はそっくりですが、中身の設計思想がまったく別ものです。同じ名前で売られている別ジャンルの製品を掴んでしまう、とゆうことが普通に起こります。買う前に「これはフィンスイミング用か」を必ず確認してください。

買う前に知っておきたい、ステッカーと2〜3ヶ月待ち

国際大会に出る予定があるなら、もう1つ確認することがあります。CMAS(世界水中連盟)の公認ステッカーです。

2021年1月1日から、CMASの選手権・ワールドカップ・国際大会に出場するモノフィン、そして記録を公認してもらうモノフィンは、CMASの認証が必要になりました。メーカーは販売前にブレードの上面にCMASのステッカーを貼ることが義務づけられていて、これが公認の証になります。将来的に国際大会に出たい人は、買うときにこのステッカーの有無を確認しておくと安心です。

もう1つが納期。競技用モノフィンは基本的に手作りの受注生産で、Fin-D Onlineでは製作に2〜3ヶ月と案内されています。「来月の大会に間に合わせよう」は、まず無理。シーズンから逆算して注文する道具なんです。

価格帯も知っておくといいと思います。Fin-D Onlineで扱う競技用モノフィン(Rocketfin)は、2026年7月時点でおよそ5万円台から16万円台。安い買い物ではありませんが、ゴム部分の劣化が2〜3年と言われる中で、直射日光と高温を避けて保管すればしっかり使えます。車のトランクに入れっぱなし、これがいちばんダメなやつです!

モノフィンは、いまも人の手で作られている

ここまで読んで「なんでこんなに選択肢が細かいんだ」と思った人もいるかもしれません。答えはシンプルで、モノフィンが工場の大量生産品ではなく、いまだに職人が手で作る道具だからです。

歴史をたどると、最初のモノフィンらしきものは1949年、オーストリアのクルト・シェーファーが自作のフィン2枚を紐とストラップで縛り合わせたものだと言われています。1969年にはカザフ・ソビエト社会主義共和国のボリス・ポロトフが、ブレード全体をガラス繊維強化プラスチックで作ることに成功しました。そして1971年、ソ連のナデジダ・トゥルカロがチタンの骨組みに「帆」を張ったモノフィンを持ってヨーロッパ選手権に現れ、他を圧倒します。ここから一気に、モノフィンは今の形へ進化していきました!

そして面白いのが現在です。世界のトップモデルの多くは、ウクライナやロシアの元チャンピオンたちが個人の名前で作っています。ヤコブレフ、グランキン、サルミン。名前がそのままブランド名になっているものが少なくありません。選手が引退後に自分の手で次の選手の道具を作る。この競技の道具にサイズ表がない理由が、なんとなく見えてきませんか?

最初の1枚、現実的な選び方

長くなったので、まとめます。

  • 硬さ:迷ったら1つ柔らかめ。硬い板は怪我のリスクが上がり、上達も遠回りになる

  • サイズ:体格に合ったものを。大きい板が速いわけではない

  • ブーツ:初めては足のサイズ+0.5〜1.0cm前後+フィンソックスで調整

  • 用途:フリーダイビング用ではなく、フィンスイミング用を選ぶ

  • 納期:受注生産で2〜3ヶ月。大会から逆算して注文する

  • 国際大会に出るなら:CMAS公認ステッカーの有無を確認

とはいえ、いちばん確実なのは買う前に履いてみることです。硬さもブーツのきつさも、カタログの数字を眺めているだけでは絶対にわかりません。チームの練習会や体験会には貸出用のモノフィンがあることが多いので、まずはそこで「これくらいの硬さか」「これくらいのサイズ感か」という基準を自分の足に作ってから注文するのが、遠回りに見えていちばんの近道です。

AQUA FinDには初中級者から日本代表まで、いろんなレベルのメンバーが所属しています。どの1枚を選ぶかで悩んだ経験は、全員が通ってきた道です。気軽に聞いてください!

種目ごとの違いから知りたい人は、サーフィスとは?モノフィンで水面を駆ける、フィンスイミングの花形種目もあわせてどうぞ。あなたに合う1枚が見つかりますように!

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